~関連痛~
先日、来院された患者様。
切実な表情と口調で『右上の1番奥がズキズキする、何とかして』
エックス線、歯周検査等の結果、置くから4番目のむし歯が原因の可能性が高いとご説明。
患者様『いや、そこは痛くないから1番奥の治療をしてください』とのこと。
その日は、消毒と消炎鎮痛薬を処方して、経過を診させて頂くことに。
つぎの日、痛みが続くと来院され、奥から4番目の治療を納得して頂き処置。
1週間後、『あれからすぐ楽になったわ。不思議ね。ほんとに1番奥が痛かったのに』。
患者様も僕もホッとひと安心。
関連痛とは、痛みの原因となる部位とは違う部位に感じる痛みの事です。
痛み刺激が神経を通じて脳に伝わる際、同じまたは隣接する神経束の刺激として誤認するためとされています。
お口のまわりでおきる関連痛で身近なものとしては、かき氷など食べた時に咽頭神経が刺激され、こめかみがキーンと痛く感じるもので、「アイスクリーム頭痛」と呼ばれます。
歯髄炎(むし歯)で耳やこめかみ、急性上顎洞炎歯に痛みを感じる事もあります。
上の歯が原因で下の歯に痛みを感じる、またその逆の場合も起こります。
重大なものとして狭心症などでは、心臓部の痛みを左上腕から下顎、奥歯の痛みとして感じる場合があります。
関連痛とはやや異なりますが、非定形歯痛(突発性歯痛)と呼ばれるものがあります。
「治療、抜歯したのに歯痛がとれない」「いくら検査しても原因が見つからない」など原因不明の歯痛です。
ただ不明とされるものの原因に関する疑わしい説はあり、これも神経伝達が混乱することによる神経因性説が有力説のひとつで、その対処法も考えられています。
治療を受けられる場合は、ご自身の感じる痛みの様子はしっかり伝えたうえで、じっくり相談して治療方針を決定するのが、痛みからはやく解放される近道ではないでしょうか。