歯科の治療で使うアマルガムとはどのようなものですか?
アマルガムは、一般的に”銀歯”などと言われ、むし歯によって歯にできた”穴”などに直接詰める歯科用の材料です。詰める時に柔らかく、その穴に確実に密着して穴の部分を封鎖できます。いったん詰め終わると非常に硬くなり強い噛み合わせにも耐えれるものです。歯科の治療では150年ほどの歴史をもってし使用されてきました。金属(銀・銅など…)の粉末と粉末と水銀を歯科医がそのつど混ぜ合わせて(現在は密封した環境下で)使用します。
日本では歯医者さんでアマルガムを使わないようにするのは危険だから?毒だから?
アマルガム(銀歯)の廃絶に向けて取り組むというのが、日本歯科医師会を含む日本の歯科界の基本的な姿勢で、この考えを社会に示したことは事実です。しかしアマルガムそのものが危険である、人体に有害であるということはありません。アマルガムという詰め物に水銀が使用されるため、水銀そのものを地域規模で廃絶しようという考えに賛同し、また水銀による様々なリスクを歯科界から失くそうという考えから廃絶に取り組もうとしています。現実において、新しくアマルガムの詰め物をするこはほとんど行われてはいません。
なぜ一部の国でアマルガムが使用されているのですか?
一つは、アマルガムは歯科の治療(修復治療:歯の形や機能を回復する治療)に使用される材料として長い歴史をもち、耐久性・操作性に富み、もっとも信頼される材料の一つであることがあげられます。したがって欧米の歯科教育では基本的な修復材料として採用されています。また安価で比較的容易に使用できることから、発展途上国やこれらの国に僻地では近代的な歯科治療機器がなく、これらの機器が備わっていないような劣悪な環境下でもアマルガムは比較的容易に使用することができ、採用されているようです。
水俣病で問題になっている水銀と歯科のアマルガムとの関係は?
水俣病で原因となった水銀は、工場排水に含まれた有機水銀(メチル水銀)です。これを、魚介類を介して住民が摂取し、住人の多くに水銀中毒による障害が生じるという痛ましい事件が生じました。アマルガムで使用されている(合金粉末と混ざっているもの)水銀は無機(金属)としての水銀であり、特に他の金属と混ざり合った状態ではきわめて安定したものです。しかし混ぜ合わせる前(保管中も)混ぜ合わせ操作中、アマルガムを削る(除去する)とき、除去後のアマルガムの保管中には水銀そのものあるいはガス化した水銀が環境を汚染することがあり、歯科界ではかねてから(古くから)慎重に対応しています。