医療法人 福歯会

ブログ

2015-08-11 09:35

人生を豊かにする「噛み合せ」の話


食文化が歯を作る。
日本人にとって良い噛み合わせとは?

 「口を開けると顎が痛む」「音がする」「口が開きにくい」といった顎関節症。その病名も、原因のひとつである噛み合せの乱れが、全身の健康に影響することも、一般に知られるようになりました。
 ただ、あまり理解されていないのは、「歯並びと噛み合わせは、別のもの」ということ。そもそも、噛み合わせが良いとは、どういう歯の状態を指すのでしょうか?
 日本人にとって一番大切な歯の役割は、食べ物を良く噛み、すり潰して咀嚼すること。繊維質の多い米を主食にしてきた私たちは、よく噛むことで唾液中の消化酵素アミラーゼを分泌し、デンプンを糖に分解して消化します。そのため、奥歯もよく使われ、全体的にすり減っているのが特徴です。
 これに対して、歯並びが整い、いかにも健康そうな欧米人の歯は、意外にも奥歯での咀嚼には向いていません。歴史を通じて、繊維質の食品を多く食べていない彼らは、日本人よりもアミラーゼを分泌する人の役割が少なく、食べ物をよく噛んで消化しやすくする習慣が少ないのだそう。欧米で歯と言えば、コミュニケーションのツール。まずは笑顔で人間関係をつくる文化が重んじられ、歯並びを大切にする意識が広がりました。 
 「食文化によって、食べ物を消化する方法は違い、咀嚼の考え方、歯の作られ方や役割も違います。これは脈々と受け継がれてきた民族的な違い。小さな頃から洋食中心の人でも、身体の仕組みは変えられないんですよ」
 つまり、私たちに必要なのは、日本の食文化に合った歯の役割を、しっかり果たせる噛み合わせです。国の歴史や文化によって、同じ歯でも重視するポイントが、異なることを覚えておきましょう。