顎関節症の主な病状とは?
かみ合わせの歪みが、痛みなどの病状を伴わないことも多いのに比べ、顎関節症は痛みなどさまざまな病状が現れるので、その発症を自分で自覚することができる。日本顎関節学会では、病状により、顎関節症を五つのタイプに分類している。
顎には左右の関節、顎を前に引っ張り出す外側翼突筋(そとがわよくとつきん)、こめかみの部分と下顎を結ぶ筋肉などからなる咀嚼筋があり、両方の顎の関節がバランスを取ることで前後左右に動くようになっている。これは他の関節にはない、特殊で複雑な動きだが、それを可能にするのが関節円板です。この関節円板は関節窩と下顎頭の間にあり、軟骨のような繊維質でできており、クッションの役目をするので、骨同士が直接擦れ合わないようになっています。これらの関節組織は、関節包という繊維質の膜に取り巻かれている。何らかの理由でこの関節円板がずれる(円板転位)と、顎の関節の障害や筋肉の障害を引き起こし、さまざまな病状が発生します。代表的な病状としては、顎が痛む、口が大きく開けられない(開口障害)、顎を動かすと音がする(関節雑音)、かみ合わせに違和感がある、口を完全に閉じることができない、などがあげられる。「顎が痛くなったがしばらくしたら治った」という比較的軽い病状から、重症になると手術が必要となったり、開口障害により食事の摂取が困難になるほど、日常生活に支障をきたすほどの病状に苦しむ人もいます。
2013-06-08 15:19:57
顎関節症はなぜ起きるのか
顎関節症の原因はかみ合わせの異常にあるといわれ、歯の高さを合わせるために歯を削る治療をしていたが、顎関節症の患者はここ十数年で約15倍と急激に増加しているといわれることから、現在では顎の関節の構造的な問題や周辺の筋肉の障害だけでなく、最近の食習慣、左右どちらか一方ばかりでかむ偏咀嚼、うつ伏せ寝やほおづえ、食いしばりや歯ぎしりなど、顎や筋肉に負担をかける癖や生活習慣、ストレスといったいくつもの原因が複雑に絡み合って起こる「多因子疾患」と考えられている。子どもから高齢者まで幅広くみられる病気だが、男性より女性に多い傾向がある。女性は男性に比べて骨格や靭帯が弱く、筋肉の緊張やストレスに対して感受性が高いためだとか、また女性ホルモンに関係があるなどの説があるが、はっきりとした理由はまだ解明されていない。
2013-06-07 16:44:40
後戻りのできない治療はなるべく避ける
かみ合わせ歪みは、一見して上下の歯がかみ合わないなど、目に見えるような大きな異常というのはあまりないです。わずか数ミクロンのずれが、歯の接触の変化を発端として、病状として現れます。また、筋力不足や精神的なストレス、無意識に行っている悪い姿勢などとの複合的な要因で、口腔内の不快感が現れるケースもあるが、人はそうした長期にわたる違和感に慣れてしまうと、異常と感じなくなることもあります。このように、かみ合わせの不調や異常は、原因も病状も複雑に絡み合っており、その治療も歯科医師とよく相談しながら、慎重に進める必要があります。国際歯科連盟は1990年に歯科治療について「極力、歯を削らない治療をしなければならない」との宣言を出したが、かみ合わせの治療においても、複合的な要因を一つ一つつぶしていくなかで不定愁訴などの
病状が改善する可能性があるため、歯を削るなどの後戻りできない治療は安易に行わないほうがいいでしょう。ストレス解消などで、気が付いたら治っていたという例もあるが、長期にわたって苦しめられている場合などは、一度かみ合わせと不定愁訴に詳しい歯科医院を訪ねるのも有効な解決法になるかもしれません。
2013-06-03 11:50:23
かみ合わせが歪むと、体に異変が起こる
人は食事の際に500~700回ほど顎を動かして、食べ物を咀嚼しているという。かみ合わせは、顎のまわりにある咀嚼筋などの筋肉で行われているが、左右どちらか一方で噛む癖のある人も多い。
長期間にわたり食べ物片側だけでかみ続けていると、かんでいる方の歯がすり減ってくる。こうしてかみ合わせが変わると、左右の咀嚼筋のバランスが崩れてくる。それにつながっている後頭部の筋肉や首の両側にある大きな筋肉(胸鎖乳突筋)のバランスも変化を強いられることになる。つまりかみ合わせが歪むことで咀嚼筋などの筋肉の緊張状態が続き、顎の周辺の筋肉に影響を及ぼして、首の頭の角度や位置が微妙に変化してくるのです。体全体の重心が変化してしまう。体の重心が変わると、今度は体全体がバランスを取ろうとして逆側に傾くので、結果としてかみ合わせの歪みが筋肉や骨格、神経までにも影響を与えることになります。ある大学のチームが「歯が抜けたり、入れ歯が合わなかったりする人は、治療をすることでアルツハイマー病の予防や進行を抑えられる可能性がある」と発表するなど、不正なかみ合わせが原因と思われる全身疾患への影響は決して見過ごすことはできないでしょう。かみ合わせは、ある日突然大きく変わるのではなく、毎日の習慣によってわずかずつ歪んでいくものです。そのため自覚症状がないまま進行して、知らないうちに全身に不調をきたしてると考えられる。かみ合わせをしっかり治せば、今まで原因不明と診断されたあなたの悩みが解決されるかもしれません。
2013-06-03 10:27:10
歯周病が引き金となって起きるさまざまな疾患.3
③誤嚥性肺炎・心内膜炎
誤嚥性肺炎は、歯周病菌などの細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込んで生じる肺炎で、高齢者に多く発症し、再発を繰り返す特徴がある。高齢者は咳嗽反射という、異物を吐き出す力や嚥下機能が弱くなっているので、誤嚥の危険性が高くなり、多くの高齢者が死亡する原因にもなっています。歯周病菌などの細菌が誤って器官に入り、肺が細菌に感染すると肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こし、血管内に侵入した細菌が心臓に運ばれると、心臓の内側を覆っている膜(心内膜)が細菌に感染して心内膜炎となります。さらに心内膜炎が進行すると、心不全となる。
④早産・低体重児出産
歯周病が妊婦に与える影響を調査したさまざまな報告によると、歯周病にかかっている妊婦の早産になる割合が、健康な妊婦に比べて5~7倍も高いことがわかりました。歯周病菌による妊婦や胎児への悪影響は、タバコやアルコールより大きいのです。歯周病菌は炎症の過程でプロスタグラジンという物質をつくり出します。これは陣痛促進剤にも使われ、子宮収縮作用が非常に強いです。したがって歯周病にかかっていると、早産の危険性を高めてしまいます。さらに頻繁な子宮収縮作用のため、胎児が十分な酸素や栄養を摂取できず、発育が妨げられることがあります。
2013-05-28 10:31:04